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AirBnBからみえる近未来の経済情勢

COVID感染拡大に伴い、今年開催予定であった東京オリンピックは延期になりました。 今なお、世界全体が見通しのつかない自粛体制が続いています。 不確実性の高い経済状況がつづいていくなかで、何かできることはないか、何か一歩進められることがないかという思いを持たれていらっしゃる方は多くいらっしゃるのではないかと思います。 弊社ではこれまでエリアの将来予測を行ってきました。本記事では、その予測に用いてきたデータソースの一つであるAirbnbの東京の宿泊予約状況を用いながら、将来の経済状況がみえるプロセスについて紹介します。

データについて

普段、私達が分析するオープンデータの一つとして、Inside Airbnbというデータセットがあります。本データセットはAirbnb(エアービーアンドビー)が公開するサービスにおける民泊に関するデータを定期的に集約し、公開したものとなります。宿泊所や予約状況に関する情報が蓄積されています。
  • 対象期間: 2020年2月1日-29日
  • 対象地域: 東京都全域
  • 対象件数: 13,132件

東京オリンピック延期前の宿泊予約状況

2020年2月時点での2020年3月以降の宿泊予約状況を折れ線グラフに整理すると下記のようになりました。 (注)2月末時点の初期データには宿泊を受け付けていない業者を除いて稼働率が計算されているため、高く見積もられています。 3月における東京全体の稼働率は4割といったところです。まだかろうじて外国人観光客が日本に滞在していたぎりぎりの時期といえるかもしれません。 しかし、数日後からは急激に下がっています。3月に目立ったイベントがないということもありますが、この時期は欧州や北アメリカにおいても感染が拡大しはじめた時期でした。 4月に近づくにつれて稼働率が少しずつ回復していきます。桜という時期的なものや、「この頃には終息するのでは」ということで数ヶ月前の予約が残ったままとも考えられます。5月以降となると、数カ月先ということでまだ予約自体がされていないことや、ホスト自体が予約受付をしていないことが考えられます。 そのようななかでオリンピック開催期間の7-8月においてのみ、突出していることが確認できます。通常であればこのグラフからは4割程度であった稼働率が6割まで上がっています。オリンピックが延期になった今では、この特需が来年に持ち越されてしまったのでしょうか。

東京の平均宿泊価格

同じく同期間の平均宿泊価格を月別に棒線グラフで整理したものがこちらです。 当初のオリンピック開催期間である2020年7月24日(金)~8月9日(日)においては価格が通常よりも倍近く高騰していることが確認できます。 旅行業界に携われる方であれば、既に自社システムの顧客申し込み状況や、同業種の経営者との情報過多交換等で市況を感じ取られている方が多くいらっしゃるかと思います。こうした肌感覚があるなかで、網羅的に市場全体の動向が細かく分析できるデータと照らし合わせることで、今後の見通しや打つべき施策がみえてくるのではないかと思います。 また、他業界で携われる方にとっては、データを通じてこれから起こる市況をいち早く確認することができます。ECやメディア、広告など旅行や宿泊に伴って高まる需要に注目して、打ち手を考える意思決定材料になりえます。

予約状況からみえる市況とその応用

今はオープンデータからでもここまでデータを確認することができる時代です。AirBnBに限らず、予約サイトからはこうした近未来の先行きを確認することができます。東京オリンピックのように、大規模かつ期間がはっきりと確定しているイベントについては、予約サイトが事前の状況を示す有力なデータソースとなりえます。 予約データからは市況だけでなく、機械学習を通じて今後同じような条件のイベント(インプット)があるときにどれほどの予約が見込まれるのかといった予測にも活用できます。 本記事では東京オリンピック延期前時点での状況の解説に留まりますが、新しいデータの公開状況をみて、延期後における宿泊状況についてもお伝えしたいと思います。 弊社ではこうしたデータ取得から解析、ソリューション開発までのご支援を行っています。オンラインによるご相談を受け付けておりますので、ご気軽にご相談ください。


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