郊外なのに人口増加!? 日の出町とは一体どのような町なのか
12
4月
26
日の出町
という場所をご存知だろうか。
あー、横浜にある京急の駅でしょ。WINS横浜が近いから、休日とかは混むんだよねー。
… それは「日ノ出町」である。ちなみにWINS横浜以外にも野毛山動物園とかがあるよ。
あっ、あれでしょ。大分にあるやつ。あそこで獲れるカレイはうまいんだよなあ。
… それは「日出町」である。読みは「ひじ」。大分県は国東半島の付け根、速見郡に属する町である。カレイ以外にも、あのやたらとノスタルジックなCMでおなじみの「大分むぎ焼酎二階堂」を世に送り出した二階堂酒造の本社があったりする。
日の出町とは東京都西部の西多摩郡に位置する町である。
人口約17,000人、青梅市とあきる野市に隣接しており、町内最大の商業施設はイオンモール日の出、町内に鉄道は通っていない。
ここまで聞いて、町の情勢としてどのようなものを想像するだろうか。
おそらく、郊外からその周辺にかけての地域にありがちな、東京へ出るには不便で、人口は減少を続ける一方で高齢化は急速に進み、鉄道がないこともあって今後買い物難民も増えていくのかもしれない…
そんな様子が浮かぶかもしれない。
しかし、最初にあげた町のプロフィールからは意外に思われるかもしれない事実がある。
日の出町の人口は増加しているのである。
隣接自治体を見てみても、青梅市は人口減少、あきる野市はほぼ横ばい、その周辺の福生市、羽村市、奥多摩町は全て人口減少となっている中で、しっかりと人口増加を維持できているのは非常に興味深い。
人口増加の理由は何なのか。何が人々を惹きつけるのか。その要因を探っていきたい。
1.日の出町の人口構成
人口増加を続ける日の出町だが、人口といっても若者からお年寄りまで様々である。まずは、どの年齢層が日の出町の人口増加を牽引しているのかを見ていく。 「日の出町人口ビジョン及びまち・ひと・しごと・創生総合戦略」をもとに作成 まず年少人口について、「日の出町人口ビジョン及びまち・ひと・しごと・創生総合戦略(以下総合戦略)」によると、バブル期以降急激に減少したものの、近年再び増加傾向に転じ、2015年時点で2,351人となっている。 続いて生産年齢人口について、こちらはバブル崩壊以減少を続けており、2015年時点で9,000人を割っている。 最後に老年人口について、こちらは上記の2世代と違い、一貫して増加傾向が続いている。1980年時点で1,425人だったのが、2015年時点で介護施設等入所者数含めて5,600人を超えており、35年で4倍近くまで膨れ上がっている。 全体としては人口増加傾向となっているが、その中身を見てみると、老年人口の急激な増加が大部分を占めており、続いて年少人口がわずかに増加しているという構成になっていた。ではなぜそのような構成になっているのか。次節以降で考えられる要因を挙げていく。2.日の出町は高齢者介護施設銀座!?
「総合戦略」では、老年人口とは別に介護保険施設等入所者数も算出している。これは1985年に集計が始まっているが、それによると1985年時点で296人だったのが2015年時点で1,018人となっている。2015年時点での日の出町の人口が約17,000人なので、人口の約6%が高齢者介護施設の入所者数ということになる。これはかなり多い数字なのではないだろうか。 そもそも、日の出町には町の規模に対して高齢者介護施設が密集している傾向があると思われる。日の出町ホームページによると、現在町内には24の事業者がある。約700人に1事業者という割合だ。参考までに隣接自治体と比べてみても、あきる野市は人口約80,000に対し17事業者で約4,700人に1事業者、青梅市でも人口約135,000に対し24事業者で約5,600人に1事業者と、日の出町の町の規模に対する高齢者介護施設の数は突出していると言っていいだろう。結果として、人口、とりわけ老年人口の数が急激に増加しているように統計上は見えるようになったのではないだろうか。市町村名 | 人口 | 高齢者介護施設事業者数 | 1事業者あたりの人口 |
---|---|---|---|
日の出町 | 17,000 | 24 | 700 |
あきる野市 | 80,000 | 17 | 4,700 |
青梅市 | 135,000 | 24 | 5600 |