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リニア新駅レビュー その1

リニア新駅設置に沸く!?橋本駅周辺は今後どのように変貌していくのか


リニア新駅設置予定地で、南関東唯一の途中駅である神奈川県相模原市橋本駅周辺 にフォーカスします。リニア開通によって橋本の公共交通体系はどうなるのか、街並みはどのようになってゆくのか、投資や店舗出店のポテンシャルはあるのか、などについて見ていきます。

1.橋本駅の現在

2019年現在、橋本駅にはJR横浜線・JR相模線・京王相模原線の3路線が乗り入れており、1日の乗車人員は約11万5000人です。乗車人員は増加傾向にあり、今後も続いていくと予想されます。乗り換えなしでいける主要都市は、
橋本→新宿(40分)
橋本→横浜(40分)
橋本→八王子(10分)
橋本→茅ヶ崎(60分)
などです。

2.リニア開通によって東京主要都市は近くなる!?

リニアが開通した場合、品川駅まで約10分と試算されています。これによって東京都心部へのアクセスはどの程度改善されるのでしょうか。
橋本→品川(10分)
橋本→東京(23分)
橋本→新宿(30分)
橋本→池袋(40分)
ターミナル駅である品川までのアクセスは劇的に改善されますが、その他の主要駅に関して言えば、品川駅大深度地下ホームによる乗り換え負担や運賃などを考慮するとあまりメリットがあるようには思えません。橋本→東京都心への通勤需要の喚起という面で言えば、リニアの開通はあまり大きな影響を及ぼさないと見ることができそうです。 そう言った意味で見ると、武蔵小杉などで見られたような急激な人口増加、タワーマンションの乱立といった現象はあまり見られないのではないかと予想されます。

3.第二の新横浜となるか!?

東京都心から比較的近い・高速鉄道によって都心への通勤が劇的に改善されたとは言えないといった、橋本駅と類似した状況だった駅がありました。新横浜駅 です。東海道新幹線に新横浜駅が設置された当初は、周囲に大規模な街があるわけでもなく、新幹線も各駅停車タイプしか止まらないといった状況でした。しかし、名古屋・大阪などの大都市圏へのアクセスが容易であることや、東京都心よりも地価や家賃が安いといった状況が追い風となり、2008年には全営業列車が停車するターミナル駅へと発展しました。北口には東京都心の高い家賃を避けたオフィス街や商業施設、サッカースタジアムなどが建設され、一大市街地を形成するまでになりました。 橋本駅は、2節で見た「武蔵小杉型」のベッドタウン的発展というよりは、「新横浜型」の広域交通網を活かしたオフィス街の機能を持った街へと発展していくと考えるのが妥当ではないでしょうか。
表 橋本と新横浜からの東京主要駅への所要時間の比較
東京の主要駅 橋本から(リニア開通時) 橋本駅から(2019年現在) 新横浜から
品川 10分 60分 10分
東京 25分 60分 17分
新宿 30分 40分 50分
池袋 40分 50分 55分
都心(東京駅)までの距離 50km 50km 33km
やはり、新幹線で直通できる場所以外へのアクセスが優れているとは言い難い。

4.広域交通の中の一拠点という視点

これまでの橋本駅周辺の開発は、主に東京への通勤需要にフォーカスしたものでした。1節でも述べたように、1990年の京王相模原線の開業以降、駅利用者数は着実に増加しています。しかし、リニア中央新幹線の開業以降、橋本に求められる機能は東京のベッドタウンだけにとどまるのでしょうか。首都圏の西の玄関口としての、より広域の交通の中の一拠点としての機能を持つ複合都市へと発展していくのではないでしょうか。

出典: 国土交通省地価公示データより作成

文責:新井